2017年のFC東京は、残念と言うより惨めな結果に終わりました。
大久保嘉人選手・ピーター・ウタカ選手・永井謙佑選手と、得点王クラスの人材を集め、サイドバックには名手・太田宏介選手も復帰したのです。
しかし、クラブ史上最大と言われるこの補強にも関わらず、まともに機能したのは太田宏介選手だけというありさまです。
J1での順位は13位、かろうじて降格圏外という惨状でした。
筆者は20年以上前からのFC東京サポですが、今回のように期待されていながら全く予想外の大不振というのは始めての経験です。
この結果にFC東京のファン達も怒るやら呆れるやら、FC東京ファンから去っていく人も続出しているようですね。
この非常事態により、FC東京は立石敬之GMの退任を発表し、また新監督に元ガンバ大阪監督の、長谷川健太氏を招きました。
今回は、その長谷川健太監督に焦点を合わせ、戦術やサッカースタイルと評価を考察します。
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長谷川健太監督の戦術とサッカースタイルとは?
2018年12月28日、FC東京は立石敬之GMの退任を発表しました。
後任GMには祖母井秀隆氏の名前が挙がったのですが、FC東京側は否定しています。
そして、新監督には元ガンバ大阪監督の長谷川健太氏が就任することになりました。
長谷川健太監督は『ケンタ』の愛称で知られる熱血監督ですが、ただの熱血ではなく理論的な下地も十分持ち合わせています。
FC東京の2018年シーズンは、選手構成も大きく変わります。
石川直宏選手は引退、徳永悠平選手は長崎に移籍、ピーター・ウタカ選手は期限満了のため退団、大久保嘉人選手も古巣の川崎に戻ります。
お馴染みの選手が去っていくのは悲しいことですが、朗報は森重真人選手の復帰でしょう。
元々FC東京の成績が急降下したのは、森重真人選手選手の負傷離脱後からです。
それまでは、Jリーグでも指折りの堅守(その代わり得点能力は低い)を誇っていたのですが、彼の離脱後はザルで水を掬うように失点の連続。
今更ながら森重真人選手の価値を再確認したしだいです。
森重真人選手と丸山祐市選手のセンターバックコンビは強力無比。
しかし代替えの選手層が薄いのが心配…。
その不安がずばり当たってしまったのが、昨年の後半での連続大量失点です。
今回の監督人事ですが、FC東京は当初は前広島監督の森保一氏を第一候補として考えていたようです。
しかし、森保一氏が東京オリンピックの監督になりそうだ(後に決定)ということで、
東京オリンピック監督候補としては、森保一氏に次ぐ候補であった長谷川健太氏
に白羽の矢を立てたのです。
新監督の条件としてFC東京が考えていたのが、
Jリーグの優勝経験と若手の育成力
でした。
長谷川健太氏は国内3冠の経験を持ち、現在日本代表の若手のホープである井手口陽介選手や、堂安律選手を育ているので、育成力も問題ありませんね。
長谷川健太監督の基本戦術は、まず堅守ですが、そのためには強力な控えCBを是非獲得して欲しいものですね。
しかし、FC東京の不振の原因は、それだけではありません。
- チームとしての執念や積極性が感じられない
- 前に進むでもなく、シュートを打つでもない消極性
- 前線からのプレスもなく、単に退いて待っているだけ
- その他の万事消極的なプレー
- フロントへの不信感と疑問
などなどの不満を、昨年の後半からずっと感じていたのです。
大久保嘉人選手のFC東京への愛想づかしも、(口惜しいですが)納得できるような気もしますね。
これらの欠点を長谷川健太監督は払拭し、意欲溢れる躍動的なチームとして生まれ変わらせてくれるでしょうか。
長谷川健太監督の戦術とサッカースタイル
長谷川健太監督は、清水エスパルスでの好成績とガンバ大阪の監督経験がありますが、いずれも守備を安定させることから始めています。
そのためには、
『決まり事』
をしっかりと選手に徹底させます。
具体的には、
『ディフェンスラインの裏を取られないようにする』
です。
センターバックが上がった時には、ボランチあるいはサイドバックが裏のスペースを埋めるとかが、その決まり事の一つですね。
また、ゾーンディフェンスの多用も、特徴の一つです。
これを練習時に繰り返し選手に教え込みます。
もう一つは、攻守の切替えを速くする、ということです。
このところのFC東京では、相手からボールを奪ってもなかなか素早い攻撃に繋がりません。
良くない頃の日本代表と似ていますね。
後でゆっくりとボールを回している間に、相手は帰陣してしまうので、そこをこじ開けるのは並たいていのことではありません。
ボールを奪ったら、あるいは奪う前にそれを予測して動き出すのは、かなりのハードワークが要求されます。
そのハードワークを可能にするための、身体能力も大事でしょう。
攻撃面では、縦への動きを素早くし、サイドバックの上がりも早めに、というスタイルです。
これには、永井謙佑選手や室屋成選手、太田宏介選手や橋本拳人選手などに期待がかかります。
とくに、太田宏介選手は清水時代に長谷川健太監督の元でプレーしていたので、戦術の理解も深く、期待できそうです。
また、長谷川健太監督は、積極的に若手を起用する事でも知られています。
監督としてみれば、能力がわかっているベテラン勢と違い、まだ海のものとも山のものともつかない若手を起用するのは、かなりの賭になります。
しかし、そこを乗り越えないと、なでしこジャパンの二の舞になってしまいます。
FC東京には、久保建英選手をはじめ、小川諒也選手、山田将之選手、平川玲選手といった気鋭の若手が多数います。
彼らが長谷川健太監督の指導で、才能を輝かせれば、FC東京も大きく変わって行くでしょう。
長谷川健太監督の練習法は、かなり変わったものです。
練習量も緻密に計算され尽くしていますが、元になっているのは、
オランダの指導者レイモンド・フェルハイエン氏による『サッカーのピリオダイゼーション』という理論
だそうです。
これは
トレーニングをいくつかの段階に、区分けして行なう
ものとのことです。
これらの長谷川健太監督の指導によって、大久保嘉人選手があれだけ怒っても変わらなかったFC東京が、変わって行くでしょうか。
期待と不安が半々ですね。
長谷川健太監督への評価とネットの声は?
あるブログで
『Jリーグでの優秀な監督は誰?』
というアンケートを行っていました。
投票数が100票強と少ないので、信頼性は今一ですが、一応参考になるのではないでしょうか。
なお、このアンケートは2016年のものなので、所属もその当時となっています。
- 森保一監督 (サンフレッチェ広島)
- 長谷川健太監督 (ガンバ大阪)
- 反町康治監督 (松本山雅)
- 高木琢也監督 (V・ファーレン長崎)
- 関塚隆監督 (ジェフ千葉)
- ペトロヴィッチ監督 (浦和レッズ)
- ネルシーニョ監督 (ヴィッセル神戸)
やはり衆目の一致するところ、一に森保一監督、二に長谷川健太監督となるようですね。
以下に長谷川健太監督への評価とネットの声を集めてみました。
なお、()内は筆者のつっこみです。
長谷川健太監督への評価とネットの声
「瓦斯にケンタは合わない。」
(その感は確かにあります。)
「一貫性がないから、(他のクラブからすると羨ましいぐらいの)予算が決まってて、役所みたいにこれを使い切らないと翌年から減額される。
それを、強化部と現場とフロントがめいめい好きな選手を勝手に獲ってきてる、しかもそんな選手を指揮する監督が篠田や安間。」
「若手育成っていうが、5年もやってまともに育てたのは井手口くらいだろ?」
FC東京「一人ひとりの戦力も大事だが、泥臭くとも、ひたむきにという東京のベースを活かして、100パーセントの力を出し切れるよう。」
「>泥臭くとも、ひたむきにという東京のベースを活かして、
まるで自己分析ができてないな。」
(そこがFC東京の困ったところ。)
「2000年あたりはそんな感じだったな。」
「大熊だったしな。」
(大熊清監督の時代には、確かに泥臭さやひたむきさはありましたが、しかしその後は・・・)
「ケンタって清水時代から勝つ時期と負ける時期がしっかり分かれる印象だが、負ける時期にあのサポが我慢できるのかな?」
「瓦斯サポは泥臭くアウェイ遠征して、ひたむきに現地食を満喫してるよ。」
「FC東京て何であれだけ補強しても弱いの?」
「ここはGMから変えないとダメだよ、口を出して従わない選手は干すんだろ?
皆、萎縮しているじゃん!!、中島翔哉なんてFC東京を出たら伸び伸びとしてる(余程窮屈だったんだろな)。」
(GMは変わりましたが、さて?)
かなり手厳しい評価や声が多いのですが、これが現実なのでしょうね。
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まとめ
クラブ史上最大の大型補強をしたにも関わらず、順位はビリから数えた方が早いという惨敗ぶり・・・
これが2017年のFC東京です。
2018シーズンに向けてFC東京はGMも入れ替え、新監督に清水や大阪で実績を残した、長谷川健太監督を招聘しました。
長谷川健太監督は厳しい練習と緻密な戦術で知られていますが、この末期的状態のFC東京を立て直すことができるのでしょうか。
FC東京ファンは皆期待と不安を半々に抱きながら、ケンタさんの手腕を見守っています!