つい先日のことですが、あちこちで話題となった広告がありました。
広告と言っても製品やサービスの宣伝ではありません。
『感謝の会』を開くという広告です。
広告を出したのは、建設機械大手コマツの元社長、安崎暁さんで、
「末期の癌だが延命治療は受けないので、今の内にみなさんに感謝の言葉を述べたい。」
ということなのです。
つまり生前にお別れの葬儀をするということですね。
この潔さと覚悟の強さに多くの人が感銘を受けました。
そして『終活』の一つの在り方として、
生前葬
が注目をあびたのです。
そこで今回は、その生前葬のやり方や参加する際の服装などのマナー、また費用はいくらくらいかかるものかを調べて見ました。
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生前葬とは?
生前葬とは、自分が生きているうちに行う葬式のことです。
生前葬はまだ一般的ではありませんが、終活の一つのあり方として、行う人が増えてきています。
生前葬を行うのは、通常はその本人ですが、行う動機としては生きている間に、
「お世話になった人や縁のある人に、直接お会いしてお礼を言いたい。」
というものが大半のようですね。
冒頭で書いた元コマツ社長の安崎暁さんも、そのひとりでしょう。
細かい決まり事がある通常の葬儀(本人が亡くなった後の葬儀)と違い、生前葬にはとくに定まった形式はありません。
ダンスパーティーやカラオケ大会、立食パーティから、はてはゲームやテレビドラマのコスプレパーティーなど、なんでもありです。
音楽や演劇の趣味があれば、音楽葬や演劇葬などもOKでしょう。
もちろん、仏教やキリスト教などによる宗教的な生前葬も、当然考えられます。
このように、決められた形式がないのも、生前葬の大きな特徴の一つでしょう。
ただし、生前葬にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
生前葬のメリットとデメリット
メリット
最大のメリットは、なんといっても、
『自分で直接お話できる』
という点です。
通常の葬儀の場合は、当然本人は亡くなっているので、お話などはできません。
もう一つは、
自分の好みのスタイルで生前葬を行える
という点でしょう。
通常の葬儀ではコスプレパーティや演劇葬はまずありえません。https://mynews23.com/wp-admin/post.php?post=8911&action=edit#
三番目は、葬儀は既に済ませているので、自分が亡くなった後に
家族が葬儀をする必要がなく、精神的金銭的負担が少なくなる
という点です。
これは遺された人からみると、ずいぶんと精神的負担は減ると思います。
最後に少しばかりさもしいメリットですが、
自分の葬儀でもらえるはずの香典を、今現在使ってしまう
こともできるというものもあります。
香典とは、本来は遺された家族の負担(葬儀費など)を減らすためのものだと思うのです。
しかし生前葬の場合は、その葬儀は既に行っていますので、まるまる本人が使うことができるわけです。
デメリット
このように、生前葬にはメリットが多いのですが、デメリットも存在します。
その最大のものは、
家族や参列者の理解が得られない場合もある
という点です
現在は生前葬は一般的とは言えませんし、家族・親族や参列者の中には旧来の葬儀と全く異なる葬儀に、拒絶感を覚えることもあるでしょう。
この点については、家族・親族および親しい間柄の参列予定者と、事前に十分話し合って理解を得ておく必要があります。
その際にもし理解が得られなかったら?
これは生前葬を断念するか、理解が得られなくても強行するかの二択となります。
家族・親族および親しい間柄の参列予定者との関係を重視するなら、生前葬は断念した方が無難でしょうね。
生前葬を行っても、本人がその直後にすぐ亡くなるというわけではありません。
生きている間の気まずさなどを考えると、生前葬強行のメリットはあまりなさそうですよ。
生前葬のやり方と服装などのマナーは?
それでは、生前葬を実際に行う時のやり方はどんなものなのでしょうか。
まず生前葬では、事前に何をするのかを決めておかなければなりません。
- 生前葬ではどんなことをしたいのか
- スタイル(形式)の決定
- 式次第の決定
- 招待者の選定と招待状の発送(生前葬であることを明記)
このあたりが大まかな生前葬の準備です。
最初にすることは、
なぜ生前葬なのか、どんなことをしたいのか
が明確になっていないと、後々混乱の元になります。
自分の意思の確認ということですね。
続いて、どんな形式で生前葬をするのか、自分の趣味や好みを生かした自由なスタイルにするのか、あるいは通常の葬儀に準じたものにするのか。
これもはっきり決めておきます。
そして、実際の式次第を決定します。
これはスタイル(形式)の決定が終わっていれば、それほど迷うこともないでしょう。
それと、参列者の選定ではこのようなスタイルの葬儀に異論がある人もいるかも知れない、という点に留意する必要があります。
また、
招待状には生前葬であることを明記
しないと間違いの元となります。
香典や会費の要不要も、はっきり書いておくべきでしょう。
会費は2万円以下が多く、一般的には1万円前後のようですね。
服装なども、従来の葬儀に準じたものならばフォーマルな服装になりますが、
趣味を生かした生前葬ならば、カジュアルウェアで可
というあたりも書いておかないと、参列者が迷うことでしょう。
生前葬で行う内容は、原則として何でも可です。
ただし、通常の葬儀に準じたやり方では、これまでの慣習とほぼ同じやり方になるでしょう。
- 主催者(本人)からのお礼と感謝の言葉
- プレゼントや花束の贈呈
- 乾杯と食事会
- 友人のスピーチ
- これまでの人生の思いでのビデオやスライドなどの視聴
- 思い出の曲や好きな曲を生演奏で鑑賞または本人が演奏
- その他コスプレやカラオケなど、なんでもOK
- 参列者と自由に歓談
- 参加者の見送りと会葬のプレゼント
というあたりが実際の内容ですが、要は葬儀というより普通のパーティという感じでやれば、大過はないかと思います。
参列者としての服装などのマナーですが、服装については、招待状に明記してあれば迷うこともないでしょう。
原則はホテルやフォーマルな会場ならば、男性はダークスーツ、女性はセミフォーマルな服装でよいと思います。
会場が屋外のガーデンパーティの場合や、生前葬の内容がくだけたもの(コスプレなど)の場合は、さらにカジュアルな服装でも問題なさそうですね。
問題は香典です。
招待状にはっきりと『香典不要』とあれば問題はありませんが、何も書いてない場合は困りますね。
香典は本来は亡くなった人へのお悔やみですから、本人が生きていれば必要ない、と考えることもできます。
また、会費制であれば、それが香典に当たると考えてもよいでしょう。
生前葬の費用はいくらくらい?
通常の葬儀の場合は、ある程度の目安となる相場があります。
しかし、生前葬の場合は、内容があまりにも多岐にわたるので、相場は事実上ありません。
ありませんというより、相場を決めるのは不可能でしょうね。
あるいは、生前葬の数だけ相場がある、と言った方が良いのかも知れません。
生前葬にかかる費用の内容には、以下のものがあります。
- 案内状などの印刷や郵送代
- 会場の使用費
- 運営スタッフなどの人件費
- 飲食代や贈答品代、余興の費用など
- 葬儀社依頼の場合には、葬儀社の費用
実際の例として、ある葬儀屋さんの例を挙げてみます。
生前葬の費用の実例
例1
人数 約10名
費用 約54万円 (飲食費用・宗教者への謝礼を含まず)
例2
人数 約10名
費用 約116万円
結構かかるものですね。
10名で50-100万円となりますと、戒名代を別にすれば、通常の坊主込みの葬儀より多少安いかな程度です。
なきがらの移動や処置、火葬のための費用などは、まるでかからないのですから、もっと安くても良さそうなものですね。
工夫すれば、この例よりはかなり安く挙げることも可能なような気もします。
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まとめ
元コマツ社長の安崎暁さんの広告で、名が知られるようになった生前葬。
読んで字のごとく、生前に本人が執り行う葬儀の一種です。
生前葬は、通常の葬儀とは違い、本人が生きている間に行うので、どんな内容にするのかを本人が決められる、というのが最大のメリットです。
カラオケよし、コスプレOK、なんでもあり、のフリースタイルなのです。
『終活』の一つの在り方として、これからは広まっていくかもしれませんね。