1匹1匹は、とても小さくてかわいいのですが、
大量に湧いて植物を根こそぎ枯らしてしまう
怖い存在のアブラムシ。
そんなアブラムシの被害から有効的に守ってくれるのが、『農薬』です。
でも、どんな種類の農薬があって、具体的にどのような効果があるのか分かりづらいのではないでしょうか。
そこで、わかりやすく、どういった効果や種類の農薬があって、どう使ったらいいのか、また、使う際の注意点なども、この記事で解説していきます。
アブラムシに効く5つのおすすめ商品
農薬の種類は無数にありますが、その中でも代表的に使われている5つを紹介します。
スミチオン
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もう
40年以上
も使われている安全性と、実績が高い農薬です。
しかも農作物だけではなく、樹木や牧草、家庭園芸、家畜の衛生状態を保つためにも活躍しています。
ただし魚類には、とても有毒なので魚類を飼っている場合、
水槽等には入れないなどの注意が必要です。
また、アブラナ科の植物には、薬害が出る可能性があります。
大根、キャベツ、小松菜、白菜などへの使用は禁物です。
使い方
1000倍に薄めて、散布。
使用回数
- 稲類には2回
- 麦類は1回
- それ以外の作物には3回から5回ほど
使用時期
- 収穫の3週間前まで…稲類
- 収穫の1週間前まで…麦類
- 収穫の2週間から3週間前まで…梨、みかん
注意点
ミツバチに対しては、とても影響が大きい農薬です。
ですから近くで養蜂を営んでいる場合や、受粉目的の作物、果樹類を栽培している場合には細心の注意が必要です。
モスピラン
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幅広い害虫に効果があります。
ミツバチやマルハナバチには影響が少ないので、花粉を運んでもらって実をつけるイチゴや、トマトの栽培に適している農薬です。
非常に殺虫力が高く、合成ピレスロイド剤や、有機リン剤などに対して耐性ができた害虫に対しても、高い効果が見込めます。
使い方
水溶剤の場合は、およそ4000倍に薄めて使用します。
使用回数
- 1回 大根、チンゲンサイ
- 2回 ブロッコリー、カボチャ、ピーマン
- 3回 きゅうり、スイカ
使用時期
- 収穫日2週間前まで…大根、白菜、ブロッコリー
- 収穫日前日まで…かぼちゃ、きゅうり、トマト
注意点
蚕に対しては毒性が強いので、近くに養蚕業を営んでいる場合はかなり強く注意する必要があります。
オルトラン
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オルトランはアブラムシだけではなく、幅広く様々な害虫に効果がある農薬です。
アブラムシがつく植物には大抵、他の害虫もつく可能性が高くなります。
そんな時に、このオルトランは高い効果を発揮します。
また浸透性が大変高く、少ない量でも植物の隅々まで効果が行き渡り、また、持続時間も長いため、経済的です。
アブラムシと共に現れる害虫といえば、マメハモグリバエやコナガ、青虫、夜盗虫などがありますが、それらの虫にも効果抜群!
使い方
使用回数
- 殺虫成分が強いので食用の作物には1回
- 花や芝を育てている場合は5回ぐらい
散布方法
- 食用の作物には苗を植える時に土と混ぜる
- 花や芝には根元に散布
アーリーセーフ
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やしの油を原料にした、
とても安全性の高い農薬です。
その安全性は、収穫日の前日に使用してもよいくらいです。
また、アブラムシの駆除以外にも、コナジラミやハダニ、うどん粉病にも効果があります。
しかも化学薬品ではないため、『有機JAS規格』という有機栽培に適合している
安心、安全なものである
という証明がされています。
使い方
300~600倍に薄めて、散布します。
使用時期
収穫の前日でもOK。
使用回数
回数制限は特になし、虫が湧くたびに直接吹きかけて使います。
散布方法
虫に直接吹きかけないと効果がなく、残薬効果もありません。
ベストガード
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この農薬は、害虫駆除というよりも、
防虫効果目的
として使われている農薬です。
効果の持続期間は、1~2か月くらいです。
アブラムシ以外にも、あらゆる種類の害虫に対して効果があるので、とても使い勝手が良く人気があります。
ただし、あくまでも防虫目的ですので、虫が湧いたあとに使用しても、あまり効果は期待できません。
使い方
水溶剤の場合、1000~2000倍に薄めて散布します。
粒剤の場合、苗を植える際に土と一緒に混ぜて使います。
使用時期
- 収穫2週間前まで…稲、梨、リンゴ
- 収穫日前日まで…ねぎ、なす、ピーマン、トマト、いちご
使用回数
3~4回
注意点
スミチオンと同じように、ミツバチに対してはとても影響が大きい農薬です。
養蜂や受粉目的の作物がある場合には、注意が必要です。
とても効果の高い天敵農薬

テントウムシ
『天敵農薬』というのは、別名:生物農薬と呼ばれていて、いわゆる
薬品ではなく生き物
を使って害虫を駆除してもらう事です。
生き物というのは、微生物、寄生虫、捕食性昆虫などです。
微生物の場合は、目的の害虫を病気にしたり、退治できる強力なものが多いです。
寄生虫は、害虫に卵を産み込んで、その卵が幼虫になって寄生虫を体内から食べて退治するという段階があります。
捕食性昆虫は、その名の通り害虫をそのまま食べるという方法で、一番直接的に駆除してくれます。
では、どんな生き物が天敵農薬として活躍しているのでしょうか。
アブラムシの天敵農薬1 テントウムシ
アブラムシの天敵では、代表的なものとしてテントウムシが挙げられます。
テントウムシは、アブラムシが大好物!
1日に100匹以上のアブラムシを食べてくれる種類もいます。
しかも最近は、羽のないテントウムシも市販されていて、昔はアブラムシがいなくなると、すぐ飛んでどこかに行ってしまう問題もなくなりました。
また、遺伝子組み換えではありませんので、羽のないテントウムシでも、その子供は羽がちゃんと生えてきます。
アブラムシの天敵農薬2 アブラバチ
アブラバチは、テントウムシとはまた違う形でアブラムシを駆除してくれます。
というのも、アブラバチはアブラムシの体内に卵を産み付けて成長するという、いわゆる寄生虫の種類に入ります。
しかもアブラムシを探索する能力が非常に高く、効率的に駆除してくれる可能性が高い生き物です。
アブラムシの天敵農薬3 その他の生き物
この他にも、アブラムシの天敵というのは意外にもたくさんいます。
- アブ
- カゲロウ
- ハエ
- カメムシ
などです。
だからこそアブラムシは仲間の数をたくさん増やす方法で、生き残る道を選んだのかもしれません。
それ故に、天敵が少ない所には、すぐ大量に湧いてしまうという事なのでしょう。
天敵農薬の使い方
天敵農薬は、薬品のように撒いたら片っ端から害虫をやっつけてくれるような簡単なものではありません。
まずは害虫が増える前に、天敵も幼虫の段階から畑に放し、害虫と合わせて成長させます。
そのためには害虫から被害が出る、かなり前から準備をします。
なぜなら害虫が発生してからでは、数が多くなりすぎて天敵が駆除できる量を大幅に上回ってしまうからです。
こういった面倒な部分があるため、今でも日本では薬品農薬の方が圧倒的に支持されています。
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まとめ
アブラムシを駆除する目的の農薬といえども、栽培する植物の種類や栽培方法、また、効果の強弱によって、さまざまな種類の農薬があることが分かりました。
そして、人気のある高性能な農薬は大抵、アブラムシだけではなく他の幅広い種類の害虫に対して、効果があります。
また、数十年間の実績のある農薬、浸透性の強い農薬、安全性の高い農薬など、それぞれの特徴があることがはっきりしたでしょう。
さらには、薬品ではなく、主に天敵生物で駆除しようとする、天敵農薬というものの存在も明らかになりました。
ただし、農薬というのは、人体に悪影響のものが多いので、適切に正しく使っていただきたいですね。