言葉の意味・語源・由来

狼煙(のろし)の意味とは?語源や由来と上げる方法をチェック!

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時代劇 狼煙

「秀吉ついに光秀討伐の狼煙を上げる!」 

テレビの時代劇に出てくる聞き慣れない言葉…『狼煙』に戸惑ってませんか。

狼煙という字は

『のろし』

『ろうえん』

と読みます。

 

『狼煙』は昔、戦いや緊急のときに煙や火を使って仲間に状況を伝え、合図を送る便利な手段でした。

戦場では伝令を走らせるよりも、

確実に・いち早く

味方に情報を伝えることができたのです。

 

この『狼煙』は、日本だけでなく世界で使われていました。

日本では、弥生時代にすでに使われていて、そのあと戦国時代に各地の武将たちが、広域の情報網として整備・進化させていきます。

ここでは、『狼煙』の意味、語源と由来…。

さらに『煙のつくりかた・上げ方』までをくわしく紹介していきましょう。

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『狼煙』の語源や由来!なぜ『狼』と『煙』と書くの?

『狼煙』とは…

  1.  火急の際の合図に、薪をたき、または筒に火薬を込めて上げる煙
  2.  一つの大きなことを起こすきっかけとなる目立った行動

と広辞苑にあります。

 

『狼煙』という文字は中国から伝来しました。

狼煙を作るためには、薪をくべて火をおこし、さらに草や杉の葉など煙を出しやすい材料を入れます。

中国では、その中にオオカミの糞を混ぜたのです。

 

狼煙を上げても、煙は風に影響され、流されやすい欠点があります。

しかし、オオカミの糞は

煙をまっすぐ立ち上がらせる効果がある

と信じられていたのです。

中国大陸には中型のオオカミ(中国オオカミ)が、朝鮮半島からモンゴル、ロシアまで広域に棲息していました。

そのために、その糞を手に入れることができたのです。

オオカミの糞が本当に煙をまっすぐ立ち上げる効果があるかどうかは、科学的に実証はされていません。

ただ、大変貴重なものだから、ありがたい効用があると信じられたのだろうと推測されています。

そこで『狼煙』という文字が使われ始めたというのが通説です。

 

オオカミの糞は本当に『煙をまっすぐ立ち上げる』?

 

西ヶ谷安弘(にしがややすひろ)さんという歴史考古学者が著作『戦国の風景・暮らしと合戦』の中で…。

学生時代に上野動物園から、日本オオカミの糞をもらって、実験してみた。

結果…。

一週間以内で発火させた狼煙は赤っぽく、一週間経つと白色。

それ以上のカラカラの糞では青または無色だった。

と報告してあります。

煙に色が付くのは、動物性タンパク質を主体とする狼の食性によるものだそうです。

ただ、『煙がまっすぐ上がった』という記述はなくて、煙の色が赤、白、青または無色となったと書いてあります。

昔の日本には、日本オオカミが棲息していましたから、その糞を

三色の煙として合図に使ったのではないか

と西ヶ谷さんは、当時推測しています。

 

さらに『築城記』(永禄8年・西暦1565年)の中には…。

ノロシ、カガリは木を積み置いて、いざというときに火をつける。

狼のフンをくべると、煙が上へよく立ちのぼる。

と書いてあるそうです。

やはりオオカミの糞を入れれば、煙がまっすぐに上がったかどうかは分かりません。

しかし、『のろし』の燃料として、とても優れたものとして、日本でも使われたことは事実のようです。

それにしてもオオカミの糞を集めるのは大変な仕事だったでしょうね。

 

『のろし』は古代の大和朝廷の時代には『烽火』という字

四世紀ごろ、いまの奈良県から大阪府にかけてできあがった大和朝廷の時代には、『のろし』はまだ『狼煙』ではなくて『烽火』と書かれています。

大和朝廷は、この烽火の施設を西日本の瀬戸内海沿いにネットワーク状に張り巡らし、大事な情報をリレーして伝達できるようにしていました。

その跡が、今でも西日本の各所に遺構として残されています。

この頃、すでに大和朝廷は自らの広域の情報ネットワークを作り上げていたのです。

その目的は、

朝鮮半島からの攻撃に備えるため

でした。

また、兵隊の募集とか集合の合図としても『烽火』が使われたようです。

大和朝廷は、情報をいち早く伝達したり、仲間で共有することが、外部の襲撃から国を守るためにいかに大切なことであるか知っていたのです。

 

狼煙』という字が現れるのは、南北朝時代(1336~1392)からといわれています。

その頃に書かれた軍記『太平記』に、民家に火をつけて合戦を知らせ『狼烟天ヲ焦セリ』とあったのです。

民家に火をつけて『のろし』代わりにしたとは、驚きですが…。

『狼烟』という記述が、ここではじめて見られたというわけです。

 

世界の『狼煙』の歴史を覗いてみよう

インディアンの狼煙

アメリカ大陸では、おなじみ西部劇のインディアンの『のろし』が外せません。

 

ジョン・ウエイン主演の古典的名作『駅馬車』に、丘陵に上がる白い噴煙を見て、駅馬車の貴婦人がけなげに立ち上がる一シーンがあります。

『のろし』は、

インディアンの戦闘開始の合図

とみたのです。

こんなシーンは映画の観客に…。

「さー大変!インディアンの襲撃が始まるよ。あの貴婦人はどうなるのかな?」

と定番に感情移入を迫ってきます。

インディアンの上げる『のろし』で戦闘が始まり、ラストでラッパの響きとともに騎馬兵が救援に駆けつけ、ハッピーエンドとなるのが昔の西部劇の決まりでした。

映画館で騎馬兵のラッパが聞こえると、観客から拍手が起こったそうです。

西部劇に欠かせない『のろし』は日本では『狼煙』です。

では、米国では『smoke of wolf』と思ったら…

そのまま『signal fire』とか『rocket』『beacon』でした。

アメリカ・インディアンは北米に住むアメリカ・アカオオカミの糞を薪に入れなかったようです。

平原の小高い丘に穴を掘り、焚き火に生の木や草をくべて煙を作り…。

毛皮や湿らせた布で蓋をして、開け閉めをすることで、立ち上る煙の間隔を調節して仲間との合図にしていました。

白人や違う種族との戦いの時だけでなく、野牛(バイソン)を狩る時にも、群れの大きさや動く方向を仲間に知らせていたそうです。

アメリカ・インディアンにとって『のろし』は、生活の武器でもあったわけですね。

モンゴル『遊牧民』の狼煙

モンゴルの遊牧民は、

羊の糞や地上に吹き出した石油などを使って『のろし』を上げた

といわれています。

遊牧民として羊は家族同然、燃料の糞は身近にありました。

また、遠くの『のろし』を見定める彼らの視力は、2.5以上もあったといわれます。

大平原を馬で駆ける生活環境のおかげで凄い視力になったのです。

アメリカ・インディアンも負けない視力で、100キロ先の煙を識別できたといわれています。

視力に頼る『のろし』は、彼らにとっては強力な情報伝達の武器だったのです。

イギリスの狼煙

イギリスにはビーコン『Beacon』という名前の付いた丘が方々にあるそうです。

Beaconとは食べるベーコンではありません。

新英和大辞典によると、イギリスでは『望楼』『信号所』。

つまり合図に煙を上げる『狼煙』の施設のことも意味していました。

イギリスでは16世紀に海軍によってヨーロッパに面した海から内陸にかけてビーコンのネットワークが作られました。

当時『無敵艦隊』と恐れられたスペイン海軍の侵攻をいち早く伝えるためです。

予想どおり、1588年に無敵艦隊がイギリスに向かってやって来ました。

その接近を知ったイギリス海軍は、素早く出動してスペイン艦隊を撃退したのです。

それは『狼煙』で作り上げた情報ネットワークのおかげでした。

中国の狼煙

中国では『のろし』のことをどう書いたのでしょうか?

狼烟』と『烽火』でした。

『烟』は煙のことです。

当然のことですが『狼の煙』でした。

中国では、前漢の時代にシルクロードに沿って『烽火台』という狼煙を上げる施設を数キロごとに作り外部からの攻撃に備えていました。

烽火台

シルクロードの烽火台

場所は高台を選び、低いところでは10メーター以上の高さにして、上部には物見櫓状のものが付いています。

この中に監視する兵を置き、緊急の時に昼は狼煙、夜は燈火を上げて、事態を伝えたのです。

その遺跡は歴史的観光資源として中国で大事に保存されています。

万里の長城にも同じような『烽火台』の跡がたくさん残っています。

この物見櫓のような烽火台は、中国とイギリス、日本で見られ、他のところでは見られないようです。

 

戦国武将の恐るべき広域の情報ネットワーク

 

日本において、情報の伝達手段として『狼煙』の持つすぐれた特性を一気に進化させた男たちがいます。

名将と呼ばれた武田信玄をはじめとした戦国の武将たちです。

それは…

  1. 一度に送る情報量を増やす工夫をした。
  2.  伝達の武器を多様化して、使い分けた
  3.  広域で密度の濃いネットワークを構築した。

の三点です。

 

狼煙で、少し複雑なメッセージを送るために、信玄が工夫したことは煙に色をつけるでした。

炭の粉、硫黄、硝石などを燃料に混ぜて、

12色まで煙の色分け

に成功しました。

これで昼間の情報量は一気に12倍となるわけです。

 

次に戦場では、狼煙に加えて、法螺貝、太鼓、鐘などを、それぞれの機能に合わせて使い分けました。

それぞれに担当の係をつけて参謀が情報伝達を統括したのでしょう。

敵軍を威圧し、味方の兵士の意識を高揚させることにもなったのです。

 

無数の烽火台をつないでできあがった信玄の情報網は居城の甲府から、東京方面にまで張り巡らされたといわれます。

これは烽火台でできた驚異の戦略的・広域情報ネットワークです。

戦国武将の情報ネットワークは大動脈から小さく枝分かれして、毛細血管のようにひろがっていたのです。

本城から支城、枝城、端城に、数キロごとに作られる烽火台。

夜はかがり火、昼は狼煙、雨天に鐘が装備され、兵士によって敵方から厳重に警備されていました。

そこには情報量とスピード、そして広域の情報ネットワークで勝負を決するという近代における情報戦争の原点が見られますね。

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まとめ

『狼煙』は民族や、風土、目的によって、燃料のつくりかた、煙の上げ方などが、それぞれ固有に違います。

ただ共通しているのは、『狼煙』は主に戦いのための武器として使われ、様々な工夫を加えられて、広域の情報収集や伝達の手段として進化を遂げたことです。

 

そのあと『狼煙』が戦場で使われることがなくなっても…。

『狼煙を上げる』という言葉は生き残って、比喩的に使われました。

「改革の狼煙を上げよう!」

とか、仲間と目的と意志を共にして、大事なことを始めるきっかけの言葉としてです。

 

いま会社で使うなら…。

「画期的な新製品が完成した。次の展示会で大々的に発表してライバルに『狼煙を上げよう!』」

仲間へのメッセージとしても使うなら…。

「さー!今夜は○○の狼煙を上げるぞ!いざ出陣!」

とかですね。

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watari1

好きなもの:野球、アニメ・ゲーム、特撮 趣味:ゲームに没頭すること、文字書き 座右の銘:『なるようにしかならない』 何をどれだけ貯めていようと、命尽きれば人生は終わり。 終わってしまった過去も、何が起こるかわからない将来も、考えるだけ無駄ではないか? そう考えたことがきっかけで、それなら今を楽しむことだけ考えよう、を信念に日々を過ごすようになりました。 自分の興味関心のある出来事やニュースについて、偏屈者ではありますが、思うままに綴っていければと思っています。

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