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グインサーガは作者逝去で未完?続編や最新刊が発売される理由とは

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世紀の大長編グインサーガシリーズは、作者・栗本薫氏の逝去により130巻で終わりました。

このグインサーガシリーズは、当初は100巻の予定だったのですが、100巻を超えても、まるで終わりそうにもなく延々と続いたのです。

30巻から50巻あたりまでは、

『この先はどうなるんだろう?』

と、多くの読者が待ち遠しい思いで次巻を待っていました。

しかし、作品の質は、後半になるとがくんと落ちて、メインストーリーとは関係のない展開に終始しています。

そして2009年、56歳の若さで栗本薫氏は急逝します。

当然グインサーガシリーズも130巻で終わりを告げたのですが、その後、何人かの作家によって語り継がれ、今日に至っています。

そこで今回は、グインサーガの作者・栗本薫氏のことと、続編や最新刊が発売される理由、またその続編を紹介しましょう。

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グインサーガと作者・栗本薫

グインサーガシリーズの作者・栗本薫氏は、1953年生まれで、2009年に膵臓癌のため逝去しました。

作家の56歳というのは、脂ののりきった盛りの時代であり、まだこれからとさえいえる年齢です。

130巻も執筆途中でしたが、それ以降のプロットは残されておらず、わずかに今後の展開の概略を記した覚書的なもののみ、残されていました。

そのようなわけで、残念ながらグインサーガシリーズの作者自身による全容は、全く不明のままです。

しかし、栗本薫氏は、新装版発行の際のあと書きで、

自分がもし早く逝くようなことがあっても、誰かがこの物語を語り継いでくれればよい。

どこかの遠い国の神話伝説のように。

と綴っています。

これにより逝去後には、夫である元SFマガジン編集長の今岡清氏の発案で、

栗本薫氏の後輩作家達がグインサーガシリーズを書き継ぐ

ことになったのです。

これらの作品は『続編』などと呼ばれ、2012年頃から現在にいたるまで書き継がれています。

 

栗本薫氏は若くして日本舞踊の名取になったり、独特の速読術で驚異的な速さで書物を読破したり、小説以外での才能にも恵まれていました。

また、本職の小説書きでも、編集者を待たせておいて、その場で一篇を書き上げてしまうこともあったのです。

その執筆の速度が、

普通の人が音読する速度

だったそうです。

おそらくは、栗本薫氏の頭の中には、その一篇の完全な形が既に出来上がっていて、書くのはその内容を文字にしていくだけだったようです。

この話を聞いて思い浮かべるのは、あの天才作曲家・ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。

モーツァルトは若い頃から天才の誉れ高く、作曲の速度も尋常ではありませんでした。

彼はワインを飲みながら、奥さんとたわいない冗談を言いあっている間に、1曲を書き上げてしまうのです。

モーツァルトの頭の中には、スコア(曲の楽器の全てのパート譜)が完成されていて、その作曲はそれを五線譜に書き写すだけなのです。

だから信じられないような速度で、冗談をいいあいながらでも書けるのですね。

もちろん、そんなことができるのはモーツァルトだけ。

ベートーベンでもワグナーでもブラームスでも、そんな芸当はできません。

そのようなエピソードを思い出すくらいの才能を、栗本薫氏は持っていたようですね。

 

しかし、ごく若い頃から容姿に強い劣等感を持っていたり、極限的な自己中心性があったり、非常に複雑な性格の持ち主でもあったようです。

自己中心性の代表的なエピソードとしてこんなものがあります。

栗本薫氏は、ある後輩作家のあと書きを書くことになったのですが、そのあと書きが凄いものでした。

通常、あと書きは、その作品を書いた作家や、作品自体を中心に書くものです。

しかし、栗本薫氏のあと書きは、それとは全く別の内容でした。

あと書きの内容の大半は、自分自身のことであり、その書籍の作者や作品のことはわずか

という驚くべきものだったのです。

これを読んでびっくりしたのは、筆者だけではないでしょう。

おそらくは、大半の人は唖然としただろうと思います。

 

また、略奪婚というのも有名ですね。

今岡清氏は、早川書房のSF雑誌『SFマガジン』の編集長だったのですが、彼は既に結婚していました。

そして、栗本薫氏の担当でもあったのですが、二人は個人的に交際するようになり、スキャンダルとなってしまいます。

その際、栗本薫氏は今岡清氏の夫人を訪れて、恐ろしい剣幕でまくしたてた噂があります。

今岡清氏の元夫人は、ごくおとなしい性格の人だったようで、おそれをなして身を退き、その結果、栗本薫氏と今岡清氏は結婚することとなりました。

これが1981年のことだったのです。

グインサーガと作品の質

グインサーガシリーズに限らず、栗本薫氏の作品については、

ある時期から作品の質が落ちてきた

という評価をする人が多いですね。

また、その時期は、1990年代の半ばあたりという説が多いのです。

グインサーガシリーズの巻数でいえば、およそ50巻あたりの時期です。

確かに、それより前のグインサーガと比べて、後半のグインサーガは明らかに質が落ちています。

メインストーリーはほとんど進展しません。

グインサーガの後半はいらん!

という人が多いのも、そのためでしょう。

その質の低下の原因ですが、一つには金銭的な事情があったようです。

栗本薫氏は、多彩な才能を持っていたので、小説書き以外の演劇や音楽などにも手を出していたのです。

しかし、本職以外でも簡単に成功できるほど、この世は甘いものではありません。

演劇などは興行面では大失敗し、多額の借金を背負うことになりました。

それが1990年代の半ばあたりで、作品の質の低下の時期とほぼ一致します。

しかも、質の低下と反比例してグインサーガシリーズの刊行速度は上がっているのです。

つまり、借金の穴埋めのための多作ということですね。

いくら才能のある作家でも、乱作すれば質が落ちるのは当然。

これがグインサーガシリーズが、途中から質が落ちたと言われる原因でしょう。

5ちゃんねるでの声

「『小説だけじゃなく各方面に才能を発揮するアテクシ♪』 をやりたかったのだろうなー。」

「劣化し始めてからは、この作者思いつくまま書き散らかしてるだけで、後で推敲などは一切してないんだろうなーと何回思ったことか。」

「七人の魔道師との整合性が付かなくなったので、グインを2回目の記憶喪失にして都合の良いところだけ忘れてもらって・・・」

どれも正論と言えますね。

 

グインサーガの続編

栗本薫氏の逝去後、その遺志を継ぐ形で他の作家によるグインサーガの続編が刊行されています。

グインサーガシリーズの本編にあたる作品は、『正伝(続)』と、外伝にあたるものは『外伝(続)』と呼ばれ、本人の作と区別しているようです。

以下が、その続編の一覧ですが、作者は複数となっています。

また、一部『グイン・サーガ・ワールド』に連載されたものに、加筆修正した作品もあります。

なお、巻数の表記は、栗本薫氏の作からの連番となっています。

グインサーガシリーズ続編一覧
正伝(続)
巻数 タイトル 作者 発行日
131 パロの暗黒 五代ゆう 2013年11月15日
132 サイロンの挽歌 宵野ゆめ 2013年12月15日
133 魔聖の迷宮 五代ゆう 2014年6月25日
134 売国妃シルヴィア 宵野ゆめ 2014年10月15日
135 紅の凶星 五代ゆう 2015年1月25日
136 イリスの炎 宵野ゆめ 2015年5月15日
137 廃都の女王 五代ゆう 2015年10月15日
138 ケイロンの絆 宵野ゆめ 2016年4月15日
139 豹頭王の来訪 五代ゆう 2016年8月15日
140 ヤーンの虜 宵野ゆめ 2016年12月15日
141 風雲のヤガ 五代ゆう 2017年4月15日
142 翔けゆく風 五代ゆう 2018年1月24日
外伝(続)
巻数 タイトル 作者 発行日
23 星降る草原 久美沙織 2012年9月15日
24 リアード武侠傳奇・伝 牧野修 2012年12月15日
25 宿命の宝冠 宵野ゆめ 2013年3月15日
26 黄金の盾 円城寺忍 2014年12月25日

各正伝(続)の簡単な紹介

131巻 パロの暗黒

グイン・サーガ131巻、『パロの暗黒』です。

正伝続編最初の作品で、作者は五代ゆうさんです。

イシュトヴァーンは、今は『さつ戮王』という異名を持つようになってしまいました。

リンダ姫改め、リンダ女王への求婚は、一時断念していますが、ヤガへの軍を起こすと見せかけて、密かにパロに戻ります。

そしてクリスタルlパレスに潜入するのですが、それを予期していたヴァレリウスは…。

なお、アルド・ナリスが復活?するのですが、その彼の役割はなんと『悪役』!(笑)

栗本薫氏が生きていたら、頭から湯気を出して怒るのではないでしょうか。

132巻 サイロンの挽歌

132巻『サイロンの挽歌』では、一事は黒し病により滅亡の危機に瀕していたケイロニアの王都サイロン。

グインにより、復興の途上にありました。

しかし、またもサイロンに異変が発生するのです。

幽閉中のシルヴィアにも不可解な蔭が忍びより、グインは再び剣ををとります。

作者は宵野ゆめさんです。

133巻 魔聖の迷宮

五代ゆうさんによる、この『魔聖の迷宮』は、栗本薫氏最後のグインサーガ。

『見知らぬ明日』の続編のような作品です。

ヤガについたフロリーとヨナ。

狂信的集団『新しきミロク』に捕らえられ、幽閉されてしまいます。

そんな二人を救出すべく、スカールやイェライシャは魔都ヤガの深淵に挑むのですが…。

134巻 売国妃シルヴィア

宵野ゆめさんの力作です。

ケイロニアの皇女でグインの妻でもあるシルヴィア。

彼女は、今は闇が丘の館に幽閉されているのですが、ある日、何者かがその館を襲撃し、シルヴィアは行方不明になります。

そしてシルヴィアは、今や『売国妃』という不名誉な蔑称でよばれるようになってしまいました。

おりしもアキレウス皇帝の病状が悪化し、サイロンは憂愁に閉ざされます。

グインはその憂愁を晴らすべく立ち上がるのです。

135巻 紅の凶星

この『紅の凶星』では、またまたショッキングなシーンがあります。

イシュトヴァーンが、

父親ともいえるカメロンの命を奪ってしまう

のです。

なのにカメロンは、イシュトヴァーンのことを、

「可哀想に、おれのかわいいイシュトヴァーン、お前、かわいそうに・・・」

と案じるのです。

親心とでもいうのでしょうか、せつないですね。

イシュトヴァーンの部下で、親友でもあるマルコはこれを怒り、イシュトヴァーンと決別してしまいます。

作者は五代ゆうさんですが、これも『パロの暗黒』同様に、ある意味、栗本薫氏へのチャレンジと言うべき作品ですね。

136巻 イリスの炎

この『イリスの炎』は、『売国妃シルヴィア』の続編ともいえる作品です。

作者は同じ宵野ゆめさんですから、違和感はないでしょう。

闇が丘の館に幽閉されていたシルヴィアは、一時行方不明となりますが、救出されます。

しかし、またまた彼女は消え失せてしまうのです。

その頃、アキレウス皇帝はついに崩御。

後継者問題や行方不明のシルヴィアの息子の問題などで、ケイロニアは激動の最中にあります。

それに対して、グインともう一人の皇女、男勝りのオクタヴィアはどう立ち向かうのでしょうか。

137巻 廃都の女王

スカールとスーティ(イシュトヴァーンの息子)は旅路の途中、キタイの都フェラーラに辿りつきます。

しかし、このフェラーラは往時の繁栄はなく、さびれ果てているのです。

しかもキタイの兵達は乱暴狼藉の限りを尽くしていて、義侠心の強いスカールは住民のために、行動を起こします。

作者は五代ゆうさんです。

138巻 ケイロンの絆

宵野ゆめさんが激動のケイロンを描く、『ケイロンの絆』。

ついにアキレウス皇帝が崩御し、混乱の最中にあるケイロン。

その混乱を納めるべく立ち上がったオクタヴィアは、グインたちの助けにより、ケイロニア皇帝として即位します。

うら若い女性であるオクタヴィアは、グインの助けがあるとはいえ、果たしてケイロニアの混乱をおさめることができるのでしょうか。

139巻 豹頭王の来訪

この『豹頭王の来訪』での主人公は、元はカメロンの片腕で今はゴーラ軍の准将となっているブランです。

ブランはヤガに潜入し、老僧ソラ・ウィンと出会います。

ブランは高僧ソラ・ウィンの力を借りて、狂信的集団と戦うのです。

一方、ヴァレリウス一行はパロから脱出、リギアの負傷もありワルド城に滞在していました。

ところが、ヴァレリウスを尋ねて意外な人物が訪れるのです。

五代ゆうさんの力作です。

140巻 ヤーンの虜

作者は宵野ゆめさんです。

アキレウス皇帝の崩御にともない、ケイロニア皇帝に即位したオクタヴィア。

その即位式には当然グインも出席するつもりでした。

しかし、オクタヴィアの即位を巡って不穏な雰囲気が漂っているのを察知したグインは、影武者を即位式に送ります。

そしてグイン自身は、北国ケイロニアのさらに北にあるベルデランドへと出立するのです。

その頃、シルヴィアの子シリウスにも、危険が迫っていました…。

141巻 風雲のヤガ

五代ゆうさんが描く、ヤガでのブランの冒険です。

ヤガでのミロクの使徒たち(元魔導師)の暗躍により、危機におちいったブランですが、真正ミロク教徒の高僧の助力を得ることができました。

二人の高僧の法力は、魔導師にも匹敵するほどなのです。

そして、連れ去られたフロリーとヨナを救うための、ブランの奔走が始まります。

142巻 翔けゆく風

現時点での正伝(続)の最新刊で、五代ゆうさんの作です。

ゴーラの准将ブラン、イェライシャに救出されたヨナとフロリー、そして二人の高僧は、ようやく出会うことができました。

そして『新しきミロク』を倒す機をうかがいます。

一方、スカールたちはヤガを目指していました。

さらにイシュトヴァーンにカメロンを亡き者にされ、イシュトヴァーンと決別したマルコたちは、遙か南の沿海州に辿りつきます。

彼らがそこで出会った意外な人物は…。

 

以上が、栗本薫氏亡き後に、別の作家により書き継がれてきた、『正伝(続)』12巻の簡単な紹介でした。

遺憾ながら、この『正伝(続)』12巻でもグインサーガシリーズのメインストーリーそのものは、ほとんど進展していません。

グインとは何者なのか、エンディングはどうなるのかなどは、これまで同様に全く不明のままなのです。

まあ、原作者の栗本薫氏自身も明確なプロットなど持っていなかったようですので、それもやむを得ないのかも知れませんね。

また、この『正伝(続)』シリーズの出来を原シリーズと比較すると、はっきり言ってあまり芳しくありません。

なんだかんだとけなされても、栗本薫氏のストーリーテリングの実力は途轍もないものがありますので、それもしようのないことでしょう。

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まとめ

世紀の大長編グインサーガシリーズは、作者・栗本薫氏の逝去により130巻で終わっています。

しかし、栗本薫氏の逝去後には作者の遺志もあり、他の作家によるグインサーガの続編が次々に刊行されています。

その数は、正伝(続)が12作、外伝(続)が4作と、現在までに16巻もあるのです。

作者の没後に、その作品が他の作家により書き継がれる例は、ラブクラフトのクートルーものなど、いくつかあります。

そのような作者と作品は、他の作家にも強い影響と感動を与えているからこそ、続編を書きたい作家が現れるのでしょう。

グインサーガシリーズもそのような作品の一つなのですね。

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watari1

好きなもの:野球、アニメ・ゲーム、特撮 趣味:ゲームに没頭すること、文字書き 座右の銘:『なるようにしかならない』 何をどれだけ貯めていようと、命尽きれば人生は終わり。 終わってしまった過去も、何が起こるかわからない将来も、考えるだけ無駄ではないか? そう考えたことがきっかけで、それなら今を楽しむことだけ考えよう、を信念に日々を過ごすようになりました。 自分の興味関心のある出来事やニュースについて、偏屈者ではありますが、思うままに綴っていければと思っています。

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