冒頭からいきなりで申し訳ありませんが、非常に残念なニュースをお知らせしなければなりません。

『なでしこジャパン』は2016年のリオ五輪最終予選で敗退し、リオ五輪への出場はできなくなりました。

筆者自身、最悪のケースだとしても、リオ五輪最終予選で、なでしこジャパンが2位で突破はできると考えていただけに、非常に残念でもあり、全く予想外の結果に驚いています。

そこで、当記事では、『なでしこジャパン』がリオ五輪最終予選で負けた理由や、なぜこれほど急に、弱くなってしまったのか、そしてなでしこジャパン再建の道などを、考察してみようと思います。

スポンサーリンク

 

なでしこジャパンがリオ五輪最終予選で負けた理由は?

なでしこ敗退

今回の女子サッカーのリオ五輪最終予選は、6ヵ国でのリーグ戦形式で、出場国は、日本、北朝鮮、オーストラリア、中国、韓国、ベトナムです。

このうち、ベトナムを除けば、実力は紙一重というのが、開始前の時点では、誰もが予想していたことです。

とはいえ、これまでの実績なども考慮すれば、日本は悪くても2位で予選突破だろう…

と考える人が多かったのです。

もちろん、筆者もそのように考えていました

しかし、蓋を開けてみればどうでしょうか?

『なでしこジャパン』は、勝ち点が全く伸びず、ついに最終予選敗退が決定してしまいました。

何故、今回の『なでしこジャパン』はこれほどまでに弱体化してしまったのか?

そして、この惨敗ともいえる、なでしこジャパンが負けた理由とはなんでしょうか?

実は言うと、初戦のオーストラリア戦から、筆者は『なでしこジャパン』に妙な雰囲気を感じていました。

なぜかいつもより寄せが甘く、相手に自由にボールを持たせてしまっているのです。

そして、2点目の失点となったシーンでは、味方へのパスが、よけようとした主審に当たってしまい、オーストラリアにとっては、運のいいゴールとなってしまいました。

この時間帯は完全に日本が支配していた時間帯なので、ここで1点取っていれば、その後はどうなっていたかわかりません。

それが、予想しない形で、相手に得点されてしまったわけです。

不運ではありますが、なんとも嫌な雰囲気でした。

その後の試合は、オーストラリア戦の嫌な雰囲気をそのまま引きずったような、なんとも消化不良の状態が続き、結局は、最終予選敗退となってしまったのです。

それでは、今回のなでしこジャパンのリオ五輪最終予選で負けた理由を考えてみましょう。

まず最初に挙げられるのは、主力選手の高齢化による力の減退と、それに代わる若手選手の台頭がなかった、というものです。

今回のなでしこジャパンのメンバーでは、主力選手の大半が20代の終わりから30代にかけての年齢層です。

以下今回のリオ五輪最終予選のメンバーです。(数字は年齢)

GK

福元美穂 32
山根恵里奈 25
山下杏也加 20

DF

近賀ゆかり 31
上尾野辺めぐみ 29
岩清水梓 29
鮫島彩 28
有吉佐織 28
田中明日菜 27
熊谷紗希  25

MF

宮間あや 31
川澄奈穂美 30
阪口夢穂  28
川村優理 26
中島依美 25

FW

大野忍 32
大儀見優季 28
高瀬愛実 25
岩渕真奈 22
横山久美 22

いかがでしょうか?

20代前半の選手は、山下選手、岩淵選手、横山選手のたった3名しかいないのです。

なぜこのような選手の構成になったのか、その理由ですが、佐々木監督としては新しい選手を多く入れることによる、チームのまとまりに不安を感じたからでしょう。

佐々木監督はこれまでにも、大事な大会(ワールドカップなど)では、おおむね、このようなベテラン中心の選手構成を取ってきましたので、これが最初というわけではありません。

若手選手の実力が足りないというよりも、既にまとまっているチームに新しい要素を入れることによる、選手間の繋がりがなくなることを、恐れたのだろうと思います。

なでしこジャパンの戦術は、一貫してパス主体のポゼッションサッカーです。

このようなチームでは、新しい選手を入れても、他の選手とのマッチングが取れるまでには、かなりの時間がかかります。

チームとしての練習時間はもちろんのこと、実際の試合でもある程度の数をこなさなければ、このマッチングは取れないでしょう。

その時間が得られなかったために、どうしても既存の戦力に頼らざるを得なかったわけです。

その代償として、いつまで経っても若手選手が伸びないという事態になり、その結果として、新旧の世代交代がうまくいかなかったのです。

もちろん、全てのベテラン選手の力が落ちたというわけではありません。

しかし、今回見た限りでは、大半のベテラン選手の力は、明らかに落ちていました。

代表的な例としては、宮間あや選手のケースです。

宮間あや選手といえば、「女・中村俊輔」といわれる程のプレースキックの名手です。

しかし、以前なら文字通りのピンポイントで合うはずの精密なキックが、現在では、はっきりとわかるくらい、精度が落ちてきているのです。

その時期は、おそらくは2年程前からのことではないかと思います。

時期的には、宮間あや選手がキャプテンを任されるようになった頃と、かぶっていますね。

宮間あや選手ののキックの精度の低下は、キャプテンという精神的重圧によるものではないかと思っています。

宮間あや選手のキックは、なでしこジャパンにとって非常に大きな武器だったので、それがなくなると、当たり前ですが、『なでしこジャパン』の得点能力は大きく落ちます。

もう1つ、筆者がなでしこジャパンの力の低下として感じたことは、大半の選手が相手の選手への寄せ(プレス)があまく、相手に自由に走られたりパスを出されたりすることが、かなり多かったことです。

また、これまでのなでしこジャパンでは考えられないような、イージーミスが多すぎたとも感じました。

直接、相手にパスを渡してしまうようなことが、何度も見られたのです。

このようなパスミスは、どのチームでも多少はありますが、今回の『なでしこジャパン』のように、1試合で10回以上、あるいはもっと多いということは、まずないでしょう。

パスミスの原因として考えられるのは、精神的な余裕が無い場合だったということですが、今回のリオ五輪最終予選においては、精神面と実力の面との両方が、作用しているような気がします。

そして、なでしこジャパンがリオ五輪最終予選で負けた理由の2つ目は、対戦国の実力が上がってきていた、というものです。

これまでの数年、『なでしこジャパン』にとっては、アジアのチームは恐れるに足らない相手でした。

2011年のワールドカップ優勝から数年前までの状況は、一時期は(十数年前)はアジア最強だった中国が低迷、韓国やオーストラリアは未だ発展途上という、なでしこジャパンにとっては、まさに向かうところ敵なしの状態でした。

また、アジア以外の国でも、ロングボール主体の大時代的サッカーが主で、そうした国々は、『なでしこジャパン』のパスサッカーにより、容易に制圧することができたのです。

しかし、この1、2年ほどで、状況が一変しました。

なでしこジャパンのワールドカップの優勝により、他の国はこぞって『なでしこジャパン』の戦法を研究し、パスサッカーを取り入れました。

もともと、フィジカル面では日本より遙かに上のヨーロッパやアメリカのチームは、パスサッカーとフィジカルメインのロングホールの併用により、実力が日本に追いつき、そして追い越していきました。

こう考えると、前回のワールドカップとロンドンオリンピックでの準優勝は、出来すぎと言えるくらいの成果だったと思います。

世界の女子サッカー情勢を考えれば、もっと悪い成績でもおかしくはなかったのですから。

こうして、今回のリオ五輪最終予選での敗退の理由を考えてみると、日本の実力低下と対戦国の実力向上の相乗効果の現れで、当然の結果といえるかもしれません。

残念ですが、もう『なでしこジャパン』の時代は終わったのです。

 

弱くなった『なでしこジャパン』再建の道は?

なでしこ敗退2

それでは、弱くなった『なでしこジャパン』の再建は可能なのでしょうか?

佐々木監督の退陣は既に決定的で、次期監督として高倉麻子氏の名前が挙がっていますね。

挙がっているというよりも、他に有力な候補がいないので、ほぼ決定といってよいでしょう。

U-19女子アジア選手権で優勝という経歴を持つ、評価の高い新監督ですね。

しかし、監督を変えるだけでは、弱くなったなでしこジャパンの復活再建は困難と思われます。

世界的に見て、既にアジアの『なでしこジャパン』一強の時代は完全に終わりを迎えてしまいました。

これまで、『なでしこジャパン』が優位であったパスサッカーは、他の国も取り入れたり、対策を施したりで、『なでしこジャパン』の優位性は失われているのです。

となれば、この際、リオ五輪出場ができなくなったという大きなデメリットを逆手にとって、新しい道を探してみたらどうでしょうか?

それは、『なでしこジャパン』を一旦解散するという道です。

『なでしこジャパン』は、ワールドカップ優勝という看板を背負っているのですが、過去の栄光に囚われていては、中々他の国に追いつくことはできないでしょう。

それならば、一旦なでしこジャパンを綺麗さっぱり解散し、ゼロベースで新しいチームを作るのです。

もちろん、愛称は『なでしこジャパン』でまったくかまいません。

ですので、「解散」というのはあくまで気持ちの上でのものです。

一旦、過去のしがらみを捨てて、1から出直すという気持ちでないと、フィジカル面での劣勢の上、技術面でも追いつかれている現状から脱出するのは、困難でしょう。

そしてリオ五輪に出場出来ない分、その間の時間を有効に使うべきです。

例えばですが、若手主体のチームを作り、充分な合同練習と海外での試合をする、というようなことです。

その場合は、新しいチームにはこれまでの主力選手、例えば宮間あや選手なども全員選出せず、若手主体で構成してみるのです。

目標はあくまで2年後、もしくは4年後です。

サッカーとしての強化目標は、これまでのパスサッカーは当然のことですが、フィジカル、特に瞬間的なスピードの獲得と、高さに重点をおくべきです。

これまで何度も見た、一瞬にしてディフェンスがおいていかれるというのは、あまりに悲しすぎます。

通常では、ありえない提案ではあるのですが、他のスポーツの選手のコンバートも考えるべきでしょう。

バレーの選手などは、ジャンプ力もありますし、スピードの点でも期待でき、よいのではないかと思いますが、スタミナに問題がありそうですね。

しかし、仮にそのような新チームを構成する場合は、日本の女子サッカーは、長い冬の時代に突入するでしょう。

まったくの新構成のチームが、そう簡単に海外の強力チームに勝てるわけがありません。

熟成する前の最初のうちは、負けに負け続けるでしょう。

しかし、目標は次期ワールドカップと東京五輪ですから、最初のうちは負けても大目に見ましょう。

『なでしこジャパン』だって、最初は負けっ放しだったのですからね。

日本サッカー協会には、これまでの栄光を忘れ、1から出直すという気持ちを、筆者としては期待したいです。

 

まとめ

『なでしこジャパン』のリオ五輪最終予選敗退という衝撃的な事件は、サッカーファンにとって大きな悲劇でした。

しかし、起こってしまったことを元に戻すことはできません。

事実を事実として受け入れ、

「では今後どうするか?」

ということを考えるべきでしょう。

4年後には東京でオリンピックが開かれます。

開催国ですので予選はありませんが、本大会で無様な試合を見せるわけにはいきません。

日本サッカー協会には、これまでの考え方を変えることを期待して、新生『なでしこジャパン』の育成に、励んでもらいたいと筆者は思っています。